コラム
公開日:2020/03/13
更新日:2021/02/22

相続税申告は自分でできるか?|メリットと注意点を解説

  • 相続税の申告って、難しいの?
  • 専門家に頼まず、自分で申告ってできないの?

相続税は、自分で申告することができます。そもそも、税金の申告は個人で行うことが原則だからです。(申告納税制度)

実際、自分で相続税申告書を作成し、税務署に提出される方もいます。

ただ、相続税の申告手続きは相続税に精通していない人にとって大変骨が折れる作業です。

今回は、自分で相続税申告をした場合の注意点やリスク、また相続税に強い税理士に依頼した場合のメリット・注意点等を詳しくご紹介いたします。

また、税理士の選び方については、下記のページが詳しいので併せてご参照ください。

相続税に強い税理士を選ぶ際のポイントとタイミング

1.自分で相続税申告の手続きをする4つのリスク

相続税に精通していない人が自分で相続税の申告手続きをすることにはリスクがあります。

1-1.必要な書類を忘れてしまう

相続税申告手続きには、膨大な「添付書類」が必要です。

例えば、下記のような書類です。

  • 被相続・相続人全員の身分証明に関する書類
  • 被相続人の預貯金・不動産・有価証券・生命保険・生前贈与など財産を証明する書類
  • 債務に関する書類

自分の相続税申告にはどの書類が必要で、どこで発行してもらえるかを自力で調べることは大変困難です。

税理士などの専門家であれば長年の経験により、「どの書類」が「いつまで」に必要で、「どこで」取得できるかを的確にアドバイスしてもらう必要があります。

1-2.相続財産の申告漏れの可能性

亡くなった人の財産をしっかり把握できているケースは意外と少ないです。

思いのほか財産が多く、あれもこれも相続税の支払い対象であった、ということもあります

特例を利用して、税額を大幅に軽減、又は税額を0円にした方の場合、「自分で申告してしまおう」と考える方も多いと思いますが、そのような方も何かしら財産の申告漏れが発生しているケースが多いです。

特に遺言書が残されていない場合は、残された家族(相続人)が遺産の調査を行わなければなりません。

自分で相続税の申告を行う場合、一部財産の申告が漏れてしまうケースが多々あります。

例えば、「名義預金(被相続人が自分以外の名義で行っている預貯金)」などは相続税申告で漏れやすい財産です。

名義人が異なるため、相続財産ではないと勘違いしがちですが、名義預金は相続財産に含める必要があります。

1-3.相続税評価が困難

相続税申告書で一番高いハードルは、「相続財産の評価」です。

特に土地の評価は複雑で、さまざまな特例や計算方法が存在します。その複雑さ故に、同じ土地を複数の税理士が評価を行った場合でも評価額は一致しないことが多いです。

税金のプロでも判断が難しい土地の評価を、初めて申告を行う人が判断することは自殺行為と言っても過言ではありません。

また前述した相続税を控除する特例も併せて計算することが重要です。

特例の存在を知らずに相続税申告をする人も多く、過大に相続税を支払ってしまうケースも多々あります。

【参考記事】

親名義の家の相続税の計算と、知っておくべき実家の相続の注意点

小規模宅地等の特例の計算例・ポイント等をわかりやすく解説

1-4.税務調査に対応できない

自分で相続税申告書を作成するリスクの中で一番重要なポイントは税務調査対応です。

相続税は他の税金と比べて、税務調査が行われる確率が高いです。

平成29年のデータによれば、相続税申告書を提出した10人のうち1人に税務調査が行われています。

特に自分で相続税申告書を作成した場合に、税務調査が入る確率が高くなると言われています。

なぜなら相続税申告書には税理士署名欄があり、税理士が申告書を作成した場合には署名することになりますが、自分で申告書を作成した場合は空欄となるため、税務署としては申告書に漏れや誤りの可能性があると判断してしまうからです。

ある日突然税務署の調査官がやってきて家の中をかき回され、財産を隠す意図がない場合でも結果的にペナルティを課されるおそれがあります。

なお、相続税の税率は、他の税金よりも高く設定されているため、調査で追徴課税になった場合の税負担はとても大きくなります。

2.税務署に相談すべき?|メリット・注意点

「自分で相続税申告をしたい」と考えている方は、まず最寄りの税務署の資産課税部門に相談するという手があります。

税務署では、基本的に平日の日中に、問い合わせや無料相談を受け付けています。

2-1.税務署に相談するメリット

自分で相続税申告書を作成する際に税務署へ相談することの一番のメリットは「無料で相談できる」ことです。

なお、相続税の仕組みや申告についての簡単な相談などは、直接電話で相談することも可能ですが、個別事例についての相談は税務署に直接出向く必要があります。

また、直接出向く際は事前に「電話予約」が必要のため、お忘れないようにご注意ください。

2-2.税務署に相談する時の注意点

①手取り足取り教えてくれない

「相談できる」とはいっても、税務署は、何でも相談を受けいれてくれる駆け込み寺というわけではありません。

申告書の作成方法を職員が手取り足取り教えてくれることはありませんし、1人の相談者に何時間も時間を割くこともしません。

税務署に出向いて相談を行う場合は、あらかじめ相続税に関する基礎知識を得て、事前に分からないことを整理して、いくつかの質問内容を用意しておく必要があります。

②相続税評価額の計算はしてくれない

税務署に相談に出向いた場合、相続財産の評価方法については教えてもらえます。

ただし、実際に相続税評価額の計算をしてくれることはありません。

特に土地・不動産等の評価額を算定して欲しい方も多いとは思いますが、税務署で相談しても期待外れな結果に終わることは少なくありません。

また、税務署の職員は「相続税評価額を減額する方法」「相続税を少なくできる特例」等を相談者に教える義務はありません。

その結果、自分で相続税評価額の減額方法や特例について調べて申告することになり、相続税に強い税理士に依頼して計算した場合と比較して、必要以上に高い相続税を払うことになりがちです。

③時間がかかる

相続税申告書は、20ページ以上の申告書で構成されています。自分で全ての申告書を作成するには膨大な時間が必要です。

そのため、自分で相続税申告を行うために税務署に出向く場合、一日では終わらないことを覚悟する必要があります。

また、前述したとおり、税務署では1人の納税者に何時間も時間を割くことはできません。

特に相続税の申告期限が迫っている場合は、迷わず税理士に相談することをおすすめします。

■関連ページ

相続税と申告期限|期限を過ぎるとどうなる?延長はできないの?

④税務署で作成したからと言って税務調査が入らないわけではない

税務署では記載方法のミスなどは指摘しても、申告の内容にまでお墨付きをくれるわけではありません。

つまり税務署に直接出向き、相談を行なったからと言って、その後税務調査が入らないわけではありません。

2-3.税務署に行く前に、相続税に関する本・セミナーを利用する

相続税の申告期限まで時間のある方は、税務署ではなく、相続税に関する本を読んだり、セミナーを申し込んで知識を得たりするのも良いでしょう。

特にセミナーの場合は、税理士など専門家が来て親切に教えてくれる場合もあります。

当事務所でも、相続税申告や相続対策に役立つセミナーを毎年多数開催しています。

最寄りにお住まいで相続についてお悩みの方はぜひお気軽にご参加ください。

■参考リンク
茨城県つくば市の税理士法人・会計事務所なら|鯨井会計グループ

3.相続税なら税理士に相談!相談する3つのメリット

相続税申告についてのリスクを回避するためには、税理士事務所に相談するのが一番です。

税理士に相談することで、次のようなメリットがあります。

3-1.税務調査の可能性が相当低くなる

前述したとおり、相続税申告書には税理士署名欄があります。

税理士に申告書の作成を依頼した場合、税理士が署名して提出するため、その後の税務調査の可能性が低くなります。

税務署は、「追徴課税できる調査先」を選定して調査を行います。

税理士署名がない申告書は「税理士に依頼していないから、申告書に間違いがあるかもしれない」と思われ、税務調査の確率が上がります。

3-2.特例や控除を有効に利用し納税額を最小限に

税理士は税金のプロであり、依頼者の強い味方でもあります。どういう対策や計算方法、特例の適用を行えば相続税の納税額が最小に抑えられるか熟知しています。

特に、土地の相続税評価は税理士の腕の見せどころと言っても過言ではありません。

自分で申告するよりも、税理士に依頼した方が税理士料金を差引いても納付税額が安くなるケースも多く見られます。

税理士報酬は安くはありませんが、目先の費用だけではなく、税理士に依頼したことで節税できる相続税の金額にも着目してみましょう。

【参考コラム】

相続税と配偶者控除の計算例・ポイント・注意点を徹底解説

小規模宅地等の特例の計算例・ポイント等をわかりやすく解説

3-3.二次相続を見越したアドバイスがもらえる

二次相続とは、現在の相続の次に起こる相続のことです。例えば、父が亡くなった数年後に母が亡くなる場合に起こる相続を二次相続と言います。

最初の相続(一次相続)で二次相続を見越した遺産分割を行うことで、相続税の節税を行うことが可能です。

ただし二次相続対策は、一次相続の相続財産だけではなく、二次相続での被相続人の相続財産も視野に入れて対策を行わなければならないため、個人で判断することは困難です。

税理士に依頼している場合は、二次相続を見越したアドバイスをもらえることができます。

なお、相続税に強い税理士を選ぶ際のポイントについて、詳しくは下記ページをご参照ください。

相続税に強い税理士を選ぶ際のポイントとタイミング

4.まとめ

今回は、「自分で相続税の計算・申告する場合についてのデメリットやリスク」、「税理士に依頼した場合のメリット」をご紹介しました。

「餅は餅屋」と言われるように、相続税について悩みがある場合は税の専門家である税理士に相談することをおすすめします。

なお当事務所「鯨井会計」では、茨城県つくば市を中心として、相続対策の立案・実行支援サービスを実施しております。

相続税に関するセミナーも頻繁に行い、相続税に関するご依頼も数多くお受けしております。

  • 葬儀後、何から手を付けて良いかわからない。
  • 預貯金の解約手続き、不動産の名義変更をどのように行ったらよいか分からない。
  • 相続税申告が必要かどうかわからない。
  • どの様な財産に対して税金がかかってくるのかわからない

等、少しでも相続について不安な方、最寄りにお住まいの方は、ぜひ当事務所にご依頼ください。

主な対応地域は、下記の通りです。

茨城県(つくば市・水戸市・土浦市・古河市・結城市・龍ヶ崎市・下妻市・常総市・笠間市・取手市・牛久市・ひたちなか市・鹿嶋市・潮来市・守谷市・那珂市・筑西市・坂東市・稲敷市・かすみがうら市・桜川市・神栖市・行方市・鉾田市・つくばみらい市・小美玉市・茨城町・大洗町・城里町・東海村・美浦村・阿見町・河内町・八千代町・五霞町・境町・利根町)、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県