種徳会NEWS 鯨井会計メールマガジン 2024年9月号

秋晴の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、心から感謝いたしております。

9月号を担当させていただきます税理士法人 YGP鯨井会計 資産税部門の杉山克行と申します。

相続税対策の一つの手法として生前の贈与があげられます。
現行ではこれらの贈与の申告においては二つの制度が存在しています。

一つは【暦年課税制度】といい、年間110万円の基礎控除が設けられており、この範囲内においては税務申告は不要という制度です。ただし相続発生の際は7年前までさかのぼって課税財産として相続税の計算対象とされる制度です。

もう一つは【相続時精算課税制度】といい、60歳以上の父母祖父母から18歳以上の子孫に対する贈与においては2,500万円の特別控除が設けられており、この金額の範囲内においては贈与税が発生しません。ただし相続開始の際は全ての贈与の財産を課税財産として相続税の計算対象として課税する制度です。令和6年1月以降の贈与においては2,500万円の特別控除とは別枠で、年間110万円の基礎控除が設けられました。この制度を活用した贈与を行った場合は、年間110万円の基礎控除に相当する金額は、相続が開始した場合でも課税財産として相続税に課税されることがありません。

同じ年において【暦年課税制度】のみを使い、父親から現金110万円を母親から現金110万円の贈与を受けた場合は、年の合計金額が220万円となり贈与税の基礎控除を超えてしまうため、申告納税手続きが必要となります。
税制改正後のこの二つの贈与課税制度を組み合わせることにより、父親からの贈与は【相続時精算課税制度】を使い110万円の贈与を、母親からは【暦年課税制度】を使い110万円の贈与を受けた場合は、贈与で取得した金額は年220万円となりますが贈与税の負担は生じません。

他方、父親、母親の両者から『相続時精算課税制度』を使い110万円ずつ合計220万円の贈与を受けた場合の基礎控除額は110万円の金額を父親母親と分かち合う形となり父親分の基礎控除額55万円、母親の基礎控除額55万円の110万円となります。この金額を超える部分については贈与時は納税が生じませんが、相続の際に課税財産として相続税の計算対象とされます。

『暦年課税制度』『相続時精算課税制度』ともに年110万円以下の贈与の場合は申告納税手続きが不要となりますが、相続時精算課税制度の適用を受ける際は、税務署に対して相続時精算課税選択届出書および親族関係を証する戸籍謄本などの提出が必須となります。

相続時精算課税制度を一度選択してしまうと、暦年課税制度へ戻ることができなくなります。
似て非なる二つの贈与課税制度、どちらの制度を適用させたほうが有利に働くのか試算をしたうえで適用するのが望ましいものと思われます。

私たち資産税部門では、このような試算、相談を承っております。お気軽にご相談ください。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

鯨井会計

9月の税務カレンダー

8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
納付期限【9月10日】
7月決算法人の確定申告〈法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税〉
申告期限【9月30日】
1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告〈消費税・地方消費税〉
申告期限【9月30日】
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告〈消費税・地方消費税〉
申告期限【9月30日】
1月決算法人の中間申告〈法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税〉(半期分)
申告期限【9月30日】
消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告〈消費税・地方消費税〉
申告期限【9月30日】
消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2か月分)〈消費税・地方消費税〉
申告期限【9月30日】

10月の税務カレンダー

9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
納付期限【10月10日】
特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
通知期限【10月15日】
8月決算法人の確定申告〈法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税〉
申告期限【10月31日】
2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告〈消費税・地方消費税〉
申告期限【10月31日】
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告〈消費税・地方消費税〉
申告期限【10月31日】
2月決算法人の中間申告〈法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税〉(半期分)
申告期限【10月31日】
消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告〈消費税・地方消費税〉
申告期限【10月31日】
消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2か月分)〈消費税・地方消費税〉
申告期限【10月31日】
個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)
納付期限【10月中において市町村の条例で定める日】

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